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経団連が岸田内閣へ求める四課題|資本主義の再構築と人材育成


【経済報道】 経団連(会長:十倉雅和)は、令和五年七月二十一日に『夏季フォーラム 二〇二三 総括文書―資本主義の再構築と人材育成―』を公表した。


岸田内閣へ以下の四つの課題に取組む事を期待した。


  1. Society 5.0時代の産業競争力強化に向けた取組みを推進

  2. 働き手の成長に資する投資により、円滑な労働移動を実現

  3. 社会不安を払拭するヘルスケア提供環境を確立

  4. 開かれた国として多様性に富むグローバルサウスとよばれる国々と同じ目線で連携・協力



<要求事項>

 一では、以下を求めた。

  • グローバル社会の共感を得るSociety5.0視点でのDX・GX・技術の俊敏な社会実装の支援

  • DX・GX・スタートアップ等の重要分野における集中投資を支援。特に、カーボンニュートラルを前提とした中長期の電力需給の明確化とエネ政策の推進

  • グローバルなルール形成の主導と共に、企業・業界・国境を越えたデータ連携・利活用の取組みの後押し。全体構想力のあるグローバルリーダーの育成支援


二では、以下を求めた。

  • 中小企業や地域に根差す企業の人材ニーズを質・量共に満たす雇用のマッチング機能の強化(労働移動を含む)。「労働移動推進型」のセーフティネットへの移行。働き手が生涯を通じて自らの働き方を選択できる様にする為のリカレント教育(リスキリングを含む)等の支援。その実現に向けて持続的に取組める様に、「一般財源」による国庫負担を含めた教育訓練給付の拡充、副業・兼業の一層の促進に向けた環境整備、働き方に中立な税・社会保障制度等の構築

  • 産学官連携による人材育成の推進。初等・中等・高等教育につき、次世代を担う人材の起業家精神、並びに多様性や主体的なキャリア形成に資する能力を育むプログラム・カリキュラムへの変革促進


三では、以下を求めた。

  • グローバルヘルス課題に対する日本の貢献・リーダーシップ発揮と、医薬品のサプライチェーンの強靭性を始めとした日本の経済安保の確保の視座を持ち、ヘルスケア分野を成長戦略の柱の一つに位置付け

  • 「持続可能な全世代型社会保障を念頭に置いた効率的な医療・介護提供体制の構築や受益と負担の在り方の見直し」、「未病・予防段階からの健康管理、医薬品・医療機器の研究開発の促進等に資する為、データ連携基盤の構築及びヘルスケアデータ利活用の特別法の策定等、ヘルスケアデータの適切且つ円滑な利活用が可能となる環境の整備」、「イノベ促進に向けたR&D支援や国民理解の醸成、創造される社会的価値の適切な評価手法の確立等」


四では、以下を求めた。

  • FOIPビジョンの共有を通じた国際社会の分断の回避(G7議長国としてグローバルサウスの国々への関与を一層強化)、WTOの機能強化とEPA・FTA等経済協定の拡大、社会課題解決型のインフラ整備・DX推進、循環型社会・脱炭素社会実現に向けたアジアとの連携・協力の推進(AZEC等)

  • メルコスール等中南米・中東湾岸諸国との連携・協力を通じたエネ・資源・食料の安保の確保、人口が増加するインド・アフリカとの経済関係の強化、日本の持続的成長を支え、日本の仲間づくりに貢献する人材の確保・育成、及びクリエイティブ産業における協業促進等の新産業育成



経団連自体が進める事

 また経団連は本フォーラムの議論を踏まえ、「サステイナブルな資本主義」の実践を通じた、Society 5.0 for SDGsの実現に向け、以下の取組みを積極果敢に進める。


  1. 日本の産業の強みを再認識した上で、エネルギ政策を含む中長期的視点での産業競争力強化に向けた展望の提示。Society 5.0 for SDGsが目指す方向性と合致した形で、グローバル視点での価値協創とルール形成、人材育成、集中投資等の推進。「データによる価値協創プロジェクト(仮、企業とステークホルダとのデータ連携に係る事例や計画等を後押しする取組み)」等の具体的な取組みの推進

  2. 成長産業・分野等への円滑な労働移動を促進する働き手の主体的・自律的なキャリア形成に向けた継続的な支援・社内体制の構築、リカレント教育(リスキリングを含む)等による能力開発といった「人への成長投資」の拡充、人の成長の成果を活かす社内外の労働移動を促進する企業における制度整備(採用方法の多様化や自社型雇用システムの確立等)。イノベーションを創出できる人材の育成

  3. 人生百年時代に誰もが健康で生き甲斐を感じながら働き、生活でき、多様なwell-being(充実状態)を向上させる事ができる社会の実現に向けた健康経営の実践。最先端のバイオ技術やデジタル技術、ヘルスケアデータの利活用を推進。及びイノベーションの推進による新技術、新産業創出の促進。予防・未病の段階から難病の治療や介護に至るまで個別最適化されたヘルスケアサービス・製品を提供し、個々人が主体的に健康を管理できるヘルスケア環境を整備

  4. グローバルサウスの各国・地域が抱える社会課題に対して解決策を提供する事を通じ、気候変動問題を始めとする地球規模課題の解決や日本の経済成長の実現に貢献


 

画像:㈳日本経済団体連合会

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